過去最高の絵を描いてやる!
これが人生最後の絵だと思って描くっ!
職業画家として
絵をガンガン描く中でも
数枚に1枚、
こういうモチベーションで
描ける絵があったりします。
しかし、こういう絵は
多くの場合
超ゆっくりしか進みません。
試しにやってみる
という発想ではなく
狙いすまして
最高の一手を積み重ねて
完全無欠の絵を描こう
としてしまうからです。
こうなると、一筆もいれず
ぼんやり絵を
眺めているだけの1日
があったりします。
これはまさに
「失敗しないために
何もしない状態」です。
これはマズイです。
神経質で完璧主義な
画家にありがちな
この病の克服方法を
今回は解説していきます。
まず最初にある大学が
明らかにした
予想に反する
実験結果を紹介します。
ある大学で壺を作る
授業が行われました。
限られた時間の中で、
よりクオリティーの
高い壺を作ろう!
という課題です。
この課題を受けた学生を
以下のように
2つのグループに
分けたようです。
①クオリティーの高い壺を1つだけ提出させたグループ
②○○個以上、壺を作れと命じ全て提出させたグループ
限られた時間の中で、
よりクオリティーの
高い壺を作ろう!
という課題なのですから
①のグループの方が
クオリティーの高い壺が
たくさん提出されそうなものですが
実際は予想を裏切る結果
がでたようです。
②の大量に壺を作らされた
グループの方が
よりクオリティーの高い壺が
数多く提出されたそうです。
この実験結果からわかることは
まあ要は「量はやがて質になる」
ということです。
完全無欠の絵を1枚描こうとして
1枚の絵を
「おっかなびっくり描く」よりも
失敗しながら何枚も繰り返し
「試しに描いてみる」
という発想の方が
良い作品が生まれるわけです。
この事実は私も深く納得します。
美大生時代、
百貨店デビューしたての頃
私は年間6本も7本も
大規模グループ展に参加し
超高速でよりクオリティー
の高い絵を描こうと
馬車馬のように絵を
描きまくっていました。
競争相手の多い
百貨店美術画廊での
大規模グループ展示で
絵をより多く売ろうとすれば
売れるクオリティーの作品を
より多く用意することが不可欠です。
商業ベースにのせるということは
こういうことなのかと痛感し
週間連載する
ジャンプの漫画家の苦労が
わかりました笑
たくさん描くから雑になるかといえば
意外とそうでもなく
小さな失敗をしながら
何枚も繰り返し
「試しに描いてみる」という発想で
描いていたため
絵のクオリティーはドンドン
上がっていきました。
まさに「量はやがて質になる」
です。
神経質で完璧主義な画家たちが
重い腰を上げて
ガンガン制作できるように
なるためにオススメなのは
“とりあえず動き出せるレシピを作る”
ということです。
自分の制作プロセスを
人に説明できるレベルで自覚し、
そのレシピ通りに作業すれば
“自分の中で70点の出来栄えの絵”
を描けてしまう
そういうレシピです。
レシピ通り70点の絵を描けたら
その後死ぬほど時間をかけたり
制作中に思いついた別の
より優れたアイデアを実行したりして
120点の絵を目指せば良いわけです。
“とりあえず動き出せる制作のレシピ”
があれば
何らかのスランプに陥った時ですら
絵を描き続けることが出来ます。
風邪をひいていようが、
失恋で傷ついていようが、
2日酔いで頭がボーっとしていようが、
ブランク空きすぎてて腕がなまっていようが
“あなたの絵”を描けるわけです。
完全無欠の絵を描くためには、このような
“描き続けるための工夫”が重要なわけです。
最後まで読んで頂き
ありがとうございます。
それではまた
次回までさようなら~