小学校の同級生、
高校時代の友達、
中学の頃の担任の先生、
職場の隣の席の同期、
親戚のおじさん、
妹、恋人
昔あなたの絵を
買ってくれたお客様
などなど同じ場所で
出会うはずもない
あなたの
「知り合いオールスターズ」が
あなたに会いに来て
一緒に話をしている。
そんな夢を
夜寝ている時に見ることって
ありますよね。
朝、目が醒めると
「○○さんと○○君は
会うはずないのに、
夢の中では全く疑問に
思わなかったわなぁ笑」
みたいな感想を
もつことも多いわけですが
この“夢の中”のような出来事が
実際に起きる珍しいケースがあります。
それがあなたの個展
を開いた時です。
個展は基本的に
“あなたに興味がある人”
だけが来てくれます。
あなたがもしカバンの
販売員をやっていたら
あなたのお店に来る人は、
その多くは
あなたの売っている
カバンに興味がある人です。
もちろん、
“販売員としてのあなた”に興味を
持って来てくれる方
もいるでしょうが
“人間としてのあなた”に
興味を持って
店を訪れる方は
多くないと思います。
しかし個展の場合は、
ほぼ全員が
“人間としてのあなた”
に興味を持つ人ばかりが
集まって来てくれるのです。
絵画が“あなたの人間性”を
反映したものであり
絵画が“役に立たないもの”
であるがゆえに
“人間としてのあなた”に
興味を持つ人ばかり
が集まって来てくれるのです。
カバンには“機能”“使い道”
があるのでそれを手に入れるため
に買いに行くわけですが
絵画の場合は“機能”“使い道”
がないからこそ
“人間としてのあなた”に興味を持つ人
ばかりが集まって来てくれるのです。
これは本当に嬉しいことですよね。
普段の生活の中でこういう経験は
なかなかできないと思います。
あなたが個展の告知をしたときに
「見に行きますね!」
という返事が方々から届く。
これは本当に作家冥利に尽きる
嬉しい体験だと思います。
これは非常に恥ずかしいことですが
正直に告白します。
今でこそ個展の告知をした時に頂く
「個展、見に行きますね!」
という返事を聞いて
100%喜びを嚙み締める
ことができるようになりましたが
お金も時間もなく
将来への不安でいっぱいだった
学生時代の私は
そんな“心の余裕”などなく
「個展、見に行きますね。」
と言われても
さほど有難いこととも思えず
「そうなんですね。
ありがとうございます~」
みたいなあっさりとした
形式的なお礼しかせず
心の中で、
「誰か買ってくれないかな~」
みたいな浅ましいことを
考えていました。
自分の自由時間を使ってまで
個展を見に来てくれる人がいる
ということの有難さ、喜びを
“心の余裕のなさ”ゆえに
実感できなかったわけです。
画家のくせに非常に貧しい感性を
していたわけです。
貧すれば鈍する
というやつですね。
個展の会期中、展示会場にいると
学生時代の友達、
昔通った学校の先生、
仕事上の知り合い、
親戚縁者、
過去のお客様
などなど
あなたの歴代の
“知り合いオールスターズ”が
見に来てくれて
「最近どうなの~」とか
「この後久々に
食事にでも行こうか~」
みたいな心温まる会話
を楽しむことができ
これまでのあなたの人生の
意味みたいなもの
まで感じることが出来ます。
リアル走馬灯なわけです。
(その直後に死んだりしないので
ご安心ください笑)
個展をまだ開いたことのない画家さんは
是非個展を開いて、この
他の何にも
代えがたい体験を
してみてほしいと思います。
最後まで読んで頂き
ありがとうございます。
それではまた
次回までさようなら~